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こんなに身近なホスピス

 ヴォーリス記念病院希望館、細井順ドクターによる講演会が夙東会館で開催されました。 

細井ドクターは ホスピス医として たくさんの患者さんの死を看取られおられます。ご自身も癌にかかり手術をされ治療の身だそうです。ホスピスでのご経験を通じて「いかに人生の終局を迎えればよいか・・」などについて語っていただきました。 

どのような人でも人は死から逃れることはできません。私たちはそのことを普段忘れたかのように生きています。 しかし一旦癌が発症すると事情は一変します。早期発見で完治するケースもありますが、末期でホスピスに入院される患者さんは、ほとんどが余命一ヶ月程度しか残されていないのです。

一般的な病院の治療は「検査 診断 治療 延命」が中心です。しかし、ホスピスでは余命が限られていますので、延命ではなくスピリチュアルペインと言って魂の苦痛への対応がケアの中心になります。 それは人生の意味、苦難の意味、罪、後悔、死の恐怖、救いなどの葛藤への対応です。

入院した患者さんは辛さ、せつなさ、やり切れなさに直面しています。当然強い死の恐怖にかられています。

しかし、もう後がないなかでも大半の人が「生きたい」のです。体の痛みは薬の対応で取り去ることができます。しかし、魂の苦痛は薬では取り去ることはできません。ですから、生まれてこれまでの人生についてじっくりお話を聞くなり、その人に向き合うのです。それが一番ご本人の「葛藤の解決」への一助となっていきます。

私たちの物理的な「命」は一代限りです。

しかし、ひらがなで書く「いのち」は 私たちを「生かす力」として 次世代に脈々と受け継がれていきます。

だれでも、自分が死んでも自分の大切にして来たなにかを次世代へ受け継いでほしい。バトンを渡したいと思うのではないでしょうか。死を意識したときから本当の人生が始まります。

ホスビスでは、人生の店じまいの際、自分がこの世で生きた意義をみつめる大切な時に寄り添っている・・とお話がありました。

 

ひるがえって深く考えさせられた、講演会でした。感謝。