
「励ましに満ちた決定」
使徒言行録15:22~35
この歴史的なエルサレム会議で決められたことは、異邦人は「割礼などのユダヤの律法を守るという行い」によって救われるのではなく、「主イエスの恵み」によって無条件で救われるということでした。そして、この決定がシリアのアンティオキア教会をはじめ、世界各地に散らばっている教会に伝えられていきました。
31節に「彼らはそれを読み、励ましに満ちた決定を知って喜んだ」と書かれています。アンティオキア教会の異邦人信者たちは、「異邦人に律法を守る重荷を負わせないこと」という決定に励ましを受け喜びました。実に、その決定は愛に満ちた決定であり、不安を抱きながら結果を心配して待っていた人々に安心を与えるものとなりました。
しかし、その決定に付帯して「特定の肉と不品行を避けよ」というユダヤ人が大切にしている慣習を守る事柄が付け加えられていました。だから、彼らは実際には別の重荷を負わせられる矛盾に気づいたはずです。けれども、アンティオキア教会の人たちは、それが教会の中の異邦人とユダヤ人たちが共に生きていくために、神が与えてくださった尊い方法であることが理解できました。
そもそも、アンティオキア教会の信者たちが心の奥底での望んでいたことは、ユダヤ人と異邦人が違いを乗り越えて一つになることでした。だから、共にユダヤ人が大切にしている慣習を守ることによって、キリストの愛を分かち合う喜びを得ようとしたのです。
教会で一番大切なことは「聖霊を通して神が自分たちに何を語ろうとされているのか」を知ることです。聖書を読み、祈る中でそれを追い求めることです。それを元に、神の愛に満ちた決定がなされていくのが教会です。
私たちも主の御心を常に尋ねながら、励ましに満ちた決定を重ね、また喜んでそれを引き受けましょう。たとえそれが重荷を背負うような決定に見えたとしても、神が用意してくださる豊かな祝福を信じ、忍耐強く生きる先にある喜びのゴールを共に目指して進むのです。
牧師 : 宮本幸男