
「あなたもOK、わたしもOK」
出エジプト3:1~12
使徒言行録15:36~41
パウロとバルナバの二人は、再び宣教旅行に出かける準備を始めました。ところが、「マルコと呼ばれるヨハネ」を連れて行くかどうかで意見が激しく衝突し、彼らはついに別行動をとるようになってしまいます。
マルコは、最初の伝道旅行の際にも二人の助手として同行しましたが、何らかの理由で、二人と別れてエルサレムに帰ってしまいました。だから、パウロは、マルコが伝道旅行の足手まといになると思って反対したのでしょう。一方、バルナバの方は、マルコにセカンドチャンス与え、名誉挽回をさせてやりたかったのだろうと思います。
かつてのパウロも、バルナバからチャンスを与えられたことによって教会の伝道者になった人でした。ですから彼は薄情な人間のように思えます。しかし、自分の意見を曲げてしまわず、神の御心だけを求めて生きようとするところが、彼の良いところかも知れません。ついつい人間の情に流されてしてしまう私たちは、パウロから学ぶべきものがあるのではないでしょうか。
それにしても一体この二人のどちらが正しいのでしょうか。ここに私たち人間の限界があるようにも感じます。どちらも正しくて、どちらも間違っているとも言えるでしょう。私たち人間のすることに完璧はなく、完璧なのは神だけだからです。
そして、神はこの状況をご自分の働きが倍に広がることに繋げました。ここに伝道チームが二つ作られていきました。これこそが神の支配とも言えます。神が人間の限界を超えて働き、常に良き方向に修正しながら、信じる者を導いておられるところにある支配です。
パウロとバルナバの二人は、自分に対する神の導きの通りに生きようとしました。最後には、相手の働きを尊重しつつ、自分の確信した道を行こうとしたのかもしれません。確かにどうしても譲ることのできないという真理があります。しかし、それ以外のものは、限界を超えて働く神を信頼して「あなたもOK、わたしもOK」で良いのです。
牧師 : 宮本幸男