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説教要約2025/5/18「自立と共生のバランス」

「自立と共生のバランス」

創世記17:1~26

使徒言行録16:1~5

 

 神による新しい出会いがパウロに用意されていました。それは、ユダヤ人を母に持ち、ギリシア人を父に持つ、若きテモテとの出会いでした。パウロは、ユダヤ人伝道と異邦人伝道をする上で、テモテのように二つのルーツを持つことが有利に働くことを知っていました。

 しかし、テモテにはユダヤ人伝道の妨げとなる大きな問題がありました。それは、ユダヤ人が本来受けるべき割礼を彼が受けていないことでした。そのために、パウロはテモテに割礼を受けさせたようですが、そもそもパウロは、異邦人は割礼を受けなければ救われないという考えに強く反対した人でした。その信念を曲げて、テモテに割礼を受けさせたのは、パウロの言動が矛盾しているように思えます。

 けれども、これはパウロが自分の信念を曲げたということではなく、大切さのバランスを考えた上での行動でした。実にパウロは、バランスのとれた生き方を目指していた人でした。キリストの恵みによって何人かでも救うために、必要ならば相手に合わせ、自分も同じようになるという考えの持ち主だったのです。パウロは、本当にこだわらなければならないものをよく知っていました。彼にとってそれはキリストの愛でした。

 

 パウロのようにキリストの愛を大切にしながら、バランスをとって生きることは、私たちの人生や教会生活においても大切なことではないでしょうか。もちろん、私たちそれぞれが、キリストと繋がっている自立した存在です。誰の支配下にも置かれず、自立している一人ひとりです。しかし、一人だけではできないこともたくさんあるのです。

 

 神の国の拡大は協力し合うということなしには進みません。自立している一方で、私たちは共に生きなければならないお互いです。私たちには、自立と共生という特権と義務が与えられているのです。これからも二つのバランスを大切にしながら、キリストの愛を大切にする者、神の国にルーツを持つ者として歩んでまいりましょう。

牧師 : 宮本幸男

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