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心の糧(アリとスズメバチ)

 

 炎天下の庭に続くコンクリートの上で、一匹の蟻を見つけました。なんとその蟻は自分の体の何倍もの大きなスズメバチを口で咥えながら運んでいました。

 もう一匹近くを通った蟻は加勢もしないで去って行きました。仲間をよんできたらよいなぁ。と思いながら、最後までは見届けられませんでしたが、ふと私の心に旧約聖書「箴言」の次の言葉が浮かんできました。

 

 『蟻には首領もなく、指揮官もいないが、夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食糧を集める。』(箴言6 6-8新共同訳)

 まさに、夏の間に備えた食糧で蟻たちは寒い冬の時期を凌ぐことができるでしょう。

「箴言」は、旧約聖書の「詩篇」の後に置かれた知恵文学、と云われ紀元前10世紀ごろ(今から約3000年前)ソロモン王の言葉として語り伝えられたと言われています。私が、「箴言」の言葉に出会うことができたきっかけについて少し述べさせていただきます。

 

 1984年の誕生日に私は両親と共に香櫨園教会で初代牧師の古河治牧師から洗礼を授けていただきました。お祝いに日本聖書教会出版の赤い背表紙の聖書をいただきました。

心に留まった言葉には線を引いて読んでいます。大きな声では言えません。まだまだ聖書を読みきれていない私です。しかし、御言葉が私の人生に与えてくれた力は大きいです。

古河牧師は毎年誕生日に御言葉を添えたカードをくださいました。

 

 2004年の誕生日カードには「箴言」からの御言葉

『人の心には多くの計画がある。しかしただ主のみ旨だけが堅く立つ』(箴言19-21)

 

 当時、私は自己免疫疾患にかかりステロイドを服用、病院と縁が切れない日々で、精神的にもとても不安な思い煩うことの多い時間を過ごしていました。教会からも足が遠退いていましたが、牧師先生はお祈りくださり御言葉により私は再び前を向いて生きようと思える力をいただけました。そして「箴言」を読んでみようと思い、目を通すと数々の興味深い言葉と出会うことができたのでした。

 

 さて、働きものの蟻たちは太古の昔から労苦して生きる糧(食糧)を集めます。

もちろん人間も労働により生きる糧を得ますが、心を支えてくれる言葉の糧を聖書から心に備えることができた幸いを感じています。

それらは私の人生を豊にしてくれ、試練の時の大きな力となっています。

恩師が示してくださった信仰の力と優しさに改めて感謝しています。

K.I

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