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「ふくらすずめの知恵」絵画

「ふくらすずめの知恵」      

ふくらすずめとは、冬になるとまんまるに膨らむ雀のことをいいます。これは寒さから身を守るために自分で羽の中に空気の層をつくります。それが見た目にふっくらしていることからその名前が付けられました。これまでは、冬の間、餌が取れないと生きていけないから秋の間にしっかり食べて、冬に備えているものとばかり思っていたのです。羽毛に空気を溜め込むなんてまるでダウンコートを着ているのですね。これには、驚かされました。今回は、この寒さに耐えるスズメたちの表情を絵の中に描こうと苦労しました。肥満では困ります。体重はそのままで軽やかに描く必要があるのです。また、羽毛の柔らかさを表現しなければなりません。そこでニードルで引っ掻いて一本一本羽を描き込みました。一晩中、引っ掻き傷を入れたお陰でこのスズメも大空へ舞い上がる力を得たように感じられました。

絵画・文 田中基信

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