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「時を穿つ」


「時を穿つ」

 ある満月の夜、何気なく歩いていると、人々が空を見上げていた。そこには、ひときわ大きく輝くフルムーンがあった。どんな深い闇の中でも、月は確実にそこにある。その存在は、永遠の静けさを湛えながら、地上の命を照らしていた。

 私はその光に見惚れ、月と、ススキの間に咲く彼岸花を描いてみたいと思った。月に見守られながら、風に揺れる草花は儚くも美しい。確かなものと消えゆくもの、その対比が心に残った。

 「時を穿つ」という題には、永遠が“今”という一瞬を抱え込み、貫いているという思いを込めた。月の光が時を超えて届くように、限りある命もまた、永遠の中に息づいている。

絵・文 田中基信

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