これはカサブランカという花です。「白い家」という意味を持つことから、その純白の花色にちなんで名付けられました。花は直径20cm前後にもなる大きさで、厚みのある白い花弁と、中央の赤褐色の葯(やく)が特徴です。これが魅力的なのですが、お花屋さんで買い求めると全てこの葯が切り落としてあるのです。と言うのは、この花粉が付くとなかなか色が取れないだけでなく、花持ちが悪いのです。花は本来、実を結ぶための器官です。めしべにこの花粉がついてしまうと花の命は終焉に向かいます。ですから売られているユリの花からはこの葯が取り除かれる事が多いのです。しかし、絵として描いた時にこの葯がないと言うのは致命的です。やはり、自然のままが一番いいのです。
この花を観るといつも決まってマタイ6.28~を思い出します。
「あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる」
この言葉を聞くと自分は一人ではないんだなと勇気づけられる思いがするのです。
絵画・文 田中基信